ポイントは労働時間の管理!2024年問題の処方せん【トラック輸送業界編】

時間外労働上限規制の導入

長距離輸送など、長時間労働が常態化している運送業では、2024年3月末までの5年間にわたる働き方改革関連法の猶予期間が終了し、トラック運転手の時間外労働上限が年960時間(月平均80時間。休日労働を除く)に制限されます。これはトラック運転手も労基法を遵守し、通常の労働者として時間管理する必要があることを意味します。

この課題を放っておくと、法令違反による罰金(違反者一人当たり30万円)を課せられる、風評被害による採用への影響が出る等、企業経営にとってのリスクにつながります。

 

上限規制対応にITツールが効果的

上限規制の適用に向け、長時間労働の是正に限らず、特に中小の物流企業ではあらゆるシーンで変革が求められるでしょう。このようなときに重要なのは、ITツールを活用した業務の効率化ではないでしょうか。トラック輸送業に適したツールを見ていきましょう。

■勤怠管理システム

勤怠管理システムを導入することにより、労基法に基づく労働時間に加え、改正基準告示(後述)を遵守して休息時間、連続運転時間、2日平均・2週平均の運転時間なども管理できます。タイムカードや運転日報、運行記録のデータを表計算ソフトに転記し、集計を行うための労力と時間が不要となります。

拘束時間のアラート設定機能を活用すれば、残り時間数を把握することもできます。

 

■配車支援システム

トラック輸送では積載量や運転時間も守らなければなりません。「配車支援・計画システム」は、手作業で行っていた配車業務をシステムに入力することによって、自動で配車計画を策定します。その効果として、効率的な配送ルートの策定、車両台数の最適化、過積載の防止、配車作業の短時間化等が挙げられます。労働時間の平準化に加え、積載率・稼働率の向上が期待できます。

 

■乗務後の自動点呼機器

物流企業では、運行の安全確保のため、運転手に対し原則として人の対面による点呼が義務付けられていますが、令和5年1月より、乗務終了時の点呼を自動で行えるようなりました。導入の要件は、(1)国交省認定機器の使用、(2)運輸支局長等への事前届け出の2点です。点呼のために人を配していた場合は、人件費の削減にもつながります。機器導入に当たっては、全日本トラック協会の自動点呼機器導入促進助成事業を通じ、助成金を申請することもできます。

令和5年度 自動点呼機器導入促進助成事業について

 

なお、ITツール導入に際しては、中小企業・小規模事業者の業務効率化やDX等を支援するIT導入補助金を利用すれば、最大で経費の半額に対して補助金を受けることができます。

IT導入補助金2023

改正基準告示

2024年4月より厚生労働大臣の改善基準告示も改正され、年間及び1か月の拘束時間、1日の休憩時間が見直されます。

トラック運転者の改善基準告示(厚生労働省サイト)

ITツールの積極的な活用は、デジタルネイティブと言われる若い世代の求人にも効果的です。事業の継続、拡大に向けて、2024年問題に取り組むことが急務です。育成協会へお気軽にご相談ください。

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