有給休暇の一斉付与方式の事業所では取得義務日数はどうなる?一斉付与方式と基準日について

ITや助成金などの活用で労務サポートをご提供しています。東京都立川市の社労士法人・育成協会です。

2019年4月、改正労働基準法が施行され、従業員の有給休暇取得が事業主の義務になりました。義務違反の場合、1人あたり30万円以下の罰金が事業主に課される可能性があります。

有給休暇の付与の方法には、大きく分けて個別付与方式と一斉付与方式があります。有給休暇取得の義務化で、一斉付与方式を採用している会社にとって、事務の煩雑化が起こっているようです。

個別管理方式と一斉付与方式の違いをチェック

有給休暇の個別管理と一斉付与

まず、有給休暇の付与の方法の違いについて整理します。

法律では、雇い入れから6ヵ月後に10日・1年6ヵ月後に11日・2年6ヵ月後に12日といったように勤続日数に応じて有給休暇を従業員に与えることが定められています(例示した勤続日数と有給休暇日数はフルタイム社員の場合)

通例では社員が入社するタイミングというのは様々。有給休暇を付与するタイミング、いわゆる基準日が社員それぞれで異なります。そのため、基準日や有給休暇の付与日数を管理する手間が生じます。このように有給休暇を社員ごとに管理する方式が、個別付与方式です。

一方、一斉付与方式では、全社員で基準日を毎年4月など、任意の日に統一します。ただし、入社から6ヵ月後に10日の有給休暇の付与は、法律どおりに行わなくてはなりません。たとえば、一斉付与の基準日が4月でも、10月に入社した社員には、まず3月に法定通り付与する必要があります。

社員の数が事業の展開にともなって増加してくると、個別管理方式のままでは有給休暇の基準日や付与日数が社員ごとにバラバラなので、労務担当者の管理ミスが発生しがちです。有給休暇の付与は、違反したときの罰則規定付きの法律で定められているのでミスは大問題。そこで、一斉付与方式の採用で有給休暇の管理ミスの余地を減らすというわけです。

一斉付与方式では有給休暇の取得義務日数の算出の手間が生じる

有給休暇の一斉付与

一斉付与方式を採用している場合、入社1年目から入社2年目にかけて、初回の基準日と一斉付与の基準日が発生します。そのため、有給休暇の取得義務の日数がよく分からないという方も少なくありません。つまり、法定の基準日から1年間に5日間の取得義務を消化すれば良いのか、はたまた一斉付与の基準日から1年間に取得義務を消化すればいいのか分かりにくいということです。

たとえば、基準日が4月の会社の場合、まず4月入社の社員に初回の法定基準日の10月に付与することになります。そして、2年目の4月に会社規定のとおり有給休暇を付与した場合、有給休暇の取得義務期間に重複が生じるので、この社員はいつからいつまでに何日の有給休暇を取得すればいいのか?という悩みが生じます。

このような重複が生じた場合、厚労省によると、1回目の基準日から2回目の基準日より1年後までの間に、比例按分という方法で算出された有給休暇の取得義務日数が生じるとされています。

社員の入社日と会社の基準日が4月の例だと、10月(法定の基準日)から次の年度末(会社の基準日の1年後)までの間は、18ヵ月間です。通常の期間(12ヵ月間)の1.5倍なので、取得義務日数も1.5倍、つまり7.5日になります。 

取得義務期間に重複が生じる場合のイメージ

▲取得義務期間に重複が生じる場合のイメージ(厚生労働省 資料より)

事業拡大を支える会社のしくみづくりをサポートいたします 

有給休暇の一斉付与方式は、管理の手間とミスを減らすために活用できますが、有給休暇の取得義務で少々ややこしくなりました。今回は、重複期間が生じるケースを1例だけ取り上げましたが、実は、多種多様な重複発生するパターンがあります。

育成協会では、重複期間が生じるパターンを把握して、一斉付与方式を採用している事業主様の労務管理のお手数を減らすお手伝いが可能です。

事業の拡大にともなって、大きくなる義務や責任。育成協会が、真摯に労務管理に取り組む事業主様のサポートをいたします!お気軽にお問い合わせください。

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